私は最近、長く続けてきた仕事を退職しました。その理由の一つとして、仕事と家庭の両立以外にも療育通いに悩み続けた日々と、子どもの発達への不安がありました。


3歳から療育をスタート

うちの子には、見た目にはわかりにくいタイプの障害と発達遅れがあります。

最初に気になったのは、2歳のころの言葉の遅れでした。
いくつかの相談窓口に足を運びましたが、返ってくる言葉は決まって「3歳までは様子を見ましょう」。
「今すぐできることはないのだろうか?」と、モヤモヤした気持ちが募っていきました。

その後、同じ悩みを持つ保護者が集まる自助グループに通うようになり、2歳半のときに市の保健センターで育児相談を受けました。
簡単な発達検査の結果、発達に凸凹(デコボコ)があることがわかり、療育機関を紹介してもらって3歳でようやく障害が発覚し療育を始めることになりました。

現在は、**週に1〜2回、ST(言語療法)**に通っています。

療育先では同世代の同じ障害を持つ子どもや親と交流することができました。それでも**発達の進みがゆっくりだな…**と感じる場面は正直たくさんありました。

お子さんの発達に不安があるときは、以下のような窓口で気軽に相談できます。

  • 市区町村の保健センターや子育て支援課
     →「発達相談」「育児相談」などを実施。HPや電話で確認できます。
  • 発達障害支援センター(都道府県に設置)
     → 専門スタッフが相談に応じたり、支援機関を紹介してくれます。
  • 小児科・かかりつけ医
     → 必要に応じて専門機関への紹介も可能です。
  • 子育て支援センターや地域のサロン
     → 保育士・保健師が相談対応していることもあります。

迷ったら、まずはお住まいの自治体に「発達の相談をしたい」と電話で問い合わせてみましょう。話を聞いてもらえるだけでも、気持ちが軽くなるかもしれません。


共働き+残業、休日は療育通い

育休中に1対1で育児に向き合うことに辛い時期もあったので、保育園に預けて体が自由で働ける時間も、自分にとっては大切でした。

しかし、カレンダー通りではない残業の多い勤務で朝から夕方まで働き、仕事の後は夕食の準備、食事、お風呂、寝かしつけで1日が終わります。

「今日、ちゃんと子どもと向き合えたかな?」
そう思っても、絵本を読んであげたり、一緒に遊んだりする余裕がなくつい怒ってしまう日がほとんどでした。

そして休日は、たまった家事と療育への母子通い
気づけば、家族でゆったり過ごす時間も、こどもと向き合う時間もないまま、毎日が過ぎていきました。


就学相談が背中を押した

療育に通っていたため、就学前検診よりも早く就学相談を経験しました。

そこで伝えられたのは、
「知的発達が実年齢より約2歳半遅れている」という現実でした。
これまでは「1歳遅れ」と言われたこともありましたが、あまり深く考えていませんでした。

その話を聞いたとき、私はふとこう思ってしまいました。

「今まで仕事をしながら、十分に子どもと向き合えてこなかったから、遅れが広がってしまったのではないか。このまま仕事中心の生活を続けていれば、子どもが学校で大変な思いをするのではないか?」

もちろん、就学相談の結果だけが退職の理由ではありません。
しかし、それは自分自身の働き方や暮らし方を見直す、決定的なきっかけとなりました。

※就学相談については、別記事で詳しく記載予定です。


退職という決断の背景にあったこと

働きながら育児・療育との両立をすることが悪いわけではありません。
実際、社会とのつながりや育児のためにも収入は大切だし、私自身、仕事にはやりがいも感じていました。

でも、心のどこかで「うちの子の発達の遅れは、家庭での関わりの少なさも影響しているのでは…?」と感じていたのも事実です。

仕事のストレスもあったのですが療育へ向かいながら涙が止まらなくなってしまい、精神的限界を迎えたことに気が付きました。子どもと丁寧に関わる時間を取り戻すために、退職するという選択をしました。


退職後の子どもとの関わり

まだ退職して間もないですが、子どもの成長と親子間の距離が近くなったと実感しています。

退職してから、子どもとの関わり方にさまざまな変化がありました。
日々の中で少しずつ感じた、小さな「できた」や「わかった」をご紹介します。

  • 子どもの話をゆっくり聞けるようになった
    仕事をしていた頃は、言葉の組み立てが苦手な子どもの話を丁寧に聞く余裕がありませんでした。
    退職後は、子どもの話をゆっくり聞きながら、言葉を整理して言い直してあげることができるように。
    その積み重ねで会話が上達し、お互いに「話す楽しさ」も育ってきました。
  • 絵本を読む時間ができた
    以前は絵本を読む時間もなかなか取れませんでしたが、今では毎日一緒に絵本を楽しんでいます。
    四季の行事や身の回りの物の名前など、絵本から学ぶ言葉が増え、語彙力の向上にもつながっています。
  • 曜日感覚が身についた
    シフト勤務で土日も仕事だったため、子どもにとって「1週間」や「曜日」の感覚が育ちにくい状況でした。療育先の指摘をきっかけに、1週間の予定表を作ったり、カレンダーに予定を書き込む習慣を始めると、すぐに理解が進みました。
  • ひらがなや数字に興味が出てきた
    以前はひらがなが読めず、数字も「10」までがやっとでした。
    退職後の家庭での関わりと療育の相乗効果で、短い単語を読めたり、数字に親しみを持つようになってきています。

毎日が劇的に変わったわけではありませんが、時間と心の余裕ができたことで、子どもの「今」と丁寧に向き合えるようになりました。
小さな変化が、これからの大きな成長につながっていくと信じています。


同じように悩んでいる方へ

療育に通いながら働くのは、本当に大変です。
毎日時間に追われ、「自分だけがこんなに余裕がないのでは…」と不安になることもあると思います。

でも、そんな中で迷い、悩みながらも子どもを想って選んだ道なら、どの選択も間違いじゃない

退職をすすめるつもりはありません。
でも、「後悔しない選択」を考えるきっかけにしてもらえたらうれしいです。


※この記事は筆者の体験に基づいており、家庭の状況や就学支援、療育内容は地域によって異なります。詳細はお住まいの自治体へご相談ください。